名前:火午 兄歳 投稿日:2014-03-05
私、丙午(ひのえうま)やねん。
その事、親戚にボロカスに言われて育ったよ。
辛かった。
で、離れて住む母方の厳しいばあちゃんかおって
「学校のテストは100点が当たり前!」
って他の孫には言うのに私には一回も言うたことなくて。
「元気か?元気やったらええねん」とだけ。
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小学生やったけどあぁ、私の事を思ってくれる人がおるって、生きていけるっておもったよ。せやから、めったに会われへんのに、何を話すわけでないのに大好きやった。
中学になったとき、そのばあちゃんが肝臓癌になってん。
もちろん告知とかない時代。
余命3ヶ月。
でも、本人やもん。わかるわなぁ。
当時、会社作ったじいちゃんが余所に子供作ってた。
お妾さんは、きっつい人で「私はええ暮らしがしたい!だから子供産んだ」と言える人やった。
おばあちゃんからは、その人を後妻にしたら子供や孫が可哀想やから、おじいさんよか一日でも長生きせなあかんねんわ。
っていわれた。
優しい口調やけど、なんや激しいもんもかんじた。
それからずっと飲み薬だけ飲んで普通に暮らしてた。
そのうちじいちゃんが晩発性の骨髄腫になってん。
広島に原爆投下後に行方不明の妹を探しにはいったからやろね。
あっと言う間にじいちゃんは痩せ細っていった。
修学旅行のお土産を渡しに病室内に見舞いにいくと、妾さんが派手な服で付き添ってて、来るなとばかりに物凄い形相で睨まれた。
子供でもお構いなしやなと思った。
11月、じいちゃんは亡くなった。
12月、初めてばあちゃんがうちに泊りにきた。
長生きする、という紫色の布団を敷いた。
夜、ばあちゃんに
「あんたは丙午やからおばあちゃんと一緒やろ?苦労するけどまけたらあかんで。あんたが迷信通りに離婚したりしたら60年後に産まれる丙午の女の子が可哀想な目にあうから、歯、食いしばってもしっかり生きなはれよ。」
目をじーっと覗き込まれて
私な、癌なんも、もう長くないのもわかってるんや。
おじいちゃんものうなったしやれやれやねん。
あとは春にみんなの合格みれたらええねん。
告知してないのは知ってるから嘘をつきとおした。
真っ正面から目を見返して
「いややわー癌やなんて!冗談言うたらあかんでー(笑)」
と返した。
真っ正面からの目を見ながら。
逃げずに嘘をついた。
でもな、、嘘をつくのはあまりに辛いんよ。
最も信頼する祖母に。
嘘をつく私。
心、壊れたんよ。
夜中トイレで服を口に押し込んで声を殺して泣き続けた。
誰にもバレないように。
壊れた心は崩れる一方やった。
3月、高校、大学の合格報告をした。
白い部屋、白いシーツ、白い着物パジャマ、白髪
ベッドの上でニコニコと正座しながらももう半分この世の人ではない感じに白く透き通るように優しく明るく光って見えた。
4月初めに他界。
私は嘘つきです。
大好きなおばあちゃんに嘘をつきました。
代償に心の一部がえぐり取られたまま生きてきました。
けど、言われた事は守るから。
次の丙午に辛い思いはさせへんように
しっかり生きるから。
余命3ヶ月から二年半も生きたその丙午根性見習うわ。
