名前:無名さん 投稿日:2010-11-06
677 :大人になった名無しさん :2007/03/05(月) 13:55:27
子供の頃、夏休みになる度に母方のばあちゃんちに遊びに行ってた。
ばあちゃんちは、車で2時間くらいの山の中の集落。
じいちゃんはとっくに死んでて、一人暮らし。近くにおばちゃん夫婦が住んでて面倒見てた。
俺が遊びに行く度に、ばあちゃんは喜んでくれて、あれこれご馳走してくれた。
俺専用のおもちゃ箱が置いてあり、プラスチックの野球セットとか虫かごとかが入ってた。
「すぐ遊べるようにおもちゃ洗っといたよ~」ばあちゃんはニコニコしながら言ってた。
すぐ裏手が山だったので、カブトムシなんかもたくさんいて、ばあちゃんちは結構お気に入りの場所だった。
でも、それも小学校高学年まで。
学校の友達と遊んでたほうが楽しいし、まして中学に入れば部活もあったし、
自然とばあちゃんち訪問は夏休みの行事から消えていった。
最後に入ったのは小5のときだったと思う。
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そんなのが寂しかったのか、夏休みが近くなる度にばあちゃんから電話が掛かってきてた。
母親から「たまに顔見せて来いって」とも言われてた。
その度に「う~ん」と生返事をし、やり過ごしていた。少しわずらわしくもあった。
毎年、そんな感じで中学、高校の夏休みを過ごし、おれは大学生になっていた。
678 :大人になった名無しさん :2007/03/05(月) 14:25:17
>>677の続き
大学3年の夏休み。8月になったばかりの昼頃。
だらだら寝てた俺は、母親から叩き起こされた。ばあちゃんが亡くなった。
その日、おばちゃんがばあちゃんちを訪ねたところ、台所で倒れていたらしい。
なくなったのは前日の夜。くも膜下出血との事。
ばあちゃんの遺体が夕方病院から戻るとの事で、母親と妹の3人でばあちゃんちに向かう。
車は俺が運転した。なんか、現実感がない。ぼーっとしている。
母親は助手席で黙りこくっている。妹は後ろで泣いていた。
夕方頃、ばあちゃんちに着いて遺体と対面する。
10年ぶりくらいの対面。でも、ばあちゃんは冷たくて、白くて、小さい。
泣き出す母親と妹の横で俺はやっぱりぼーっとしてる。頭に靄がかかった感じ。
涙は出てこない。(おれって冷たいのかな?)そんなことを思ったりしてた。
679 :大人になった名無しさん :2007/03/05(月) 14:59:16
>>678の続き 連投ごめん
なんとなく居たたまれなくなって、庭に出てみる。
庭の隅にある、ばあちゃんの納屋。子供の頃、よくここで遊んで怒られた。
中に入ってみると、いろんなものが置いてある。
全部、埃まみれ。この埃の匂いは子供の頃と変わらない。
足元に俺のおもちゃ箱を見つける。
プラスチックのバット、ボール、虫かご、ミニカー・・・
「?」・・・次の瞬間気付いた。
これ、ひとつも埃が付いてない!
慌てて、箱を抱えておばちゃんのところへ駆け出す。
「おばちゃん、これ・・・?」
おばちゃんは最初怪訝な顔をしてたけど、俺の聞きたいことに気付いて
「それねぇ、ばあちゃんが毎年、夏になると洗ってたのよ。
Mちゃん(俺)がいつ来ても遊べるようにって・・・。
もう、そんな年じゃないよって言ったんだけど、きかないのよねぇ。」
おばちゃんは泣いたような、笑ったような顔だった。
初めて泣いた。
もう、箱を抱えて、座り込んで大声で泣いた。
10年もばあちゃんは俺を待ってた。
俺のおもちゃを洗いながらずっと待ってたのに
「遊びにおいで」何十回もばあちゃんは言ってたのに。
なんでこんなに人は人のことをこんなに想い続けられるんだろう?
そして俺は、そんな想いを、こんな風に形にして目の前に出してもらわないと分からない。
自分が本当にくだらなくて、愚かな人間に思えた。
ばあちゃん、ごめんなさい。
いつでも会えるんだから、と後回しにしてた。
ばあちゃんがいることが当たり前だと思ってた。
それが、ずっと続くことが当たり前だと思ってた。
ばあちゃん、ほんとにごめんなさい。
