名前:kiyo 投稿日:2009-09-25
投稿日:2009/03/08 投稿者:kiyo
私が高校1年生の時の話です。私は学校が大嫌いでした。
親に言われて進学した高校も、入学して2週間で行かなくなりました。
髪を染めて、ピアスをあけて、化粧をして、趣味のライブに行くことにしか楽しみを感じることが出来ませんでした。
入学して1ヶ月ほど経ったある日、数週間ぶりに登校すると、教室に行く前に生徒指導部の教師に捕まり、言い争いになりました。
「学校なんて来たって何も良いことなんてないじゃないか」
当時の私には心を許せる友達もなく、1人職員室で泣いていました。
すると当時の担任と副担任、それと学年主任のH先生が来て私の話を聞こうとしてくれました。
しかし私はいじけて只「学校辞める」と繰り返すだけで何も言いませんでした。
担任と副担任は自分の授業に行きましたが
H先生はずっと私の傍から離れませんでした。
そして私に、自分が昔ある事件で教え子を亡くしてしまったことを泣きながら話したんです。
非行に走り、学校を辞めたことがその事件のきっかけだったようです。
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H先生は今でもそれを悔やんでいるようでした。私は何も言えなくなりました。
「とにかく、明日からも学校へおいで。一緒に語ろうじゃないか」
私は頷きました。
それから1週間、私は毎日学校へ行きました。
髪の色も化粧もピアスもそのままに
H先生に会いに行きました。
先生はこの時、自分の授業を全てすっぽかして私の相手をしてくれていたことを後で知りました。
そんなある日、1年生全生徒で行う奉仕活動がありました
学校の周りの清掃をやるらしく
先生たちに連れられ、私も参加しました。
友達もいなかった私は1人、トンボを捕まえて遊んでいました。
捕まえたトンボ…逃がすのは勿体ない…
すると、H先生がゴミを集めているのを見つけました。
「先生、コレあげる。」
トンボをH先生にあげました。半ば、押し付けたようなものです。
「コレどうすりゃいいんだ?」
「捨てていいよ」
私はまた1人ふらふらと清掃もせずに遊びに出ました。
それから、私は段々と落ち着いていきました。
相変わらず友達はいませんでしたが
サボるようにちょこちょこ学校を休みながらも2年生になり、3年生になりました。
H先生は学年主任ではなくなり、交流もなくなりました。
そして先日、卒業式を迎えました。
教室で1人1人担任から卒業証書をもらいます。
番号が遅い私は、みんなが泣きながらそれを受け取る姿を
いつ終わるのかと時計を気にしながら眺めていました。
ようやく私の番、
3年間クラス替えのないうちの学校、担任は1年生の時から替わっていません。
「あなたには特別にプレゼントがあります」
「?」
卒業証書と一緒に、プラスチックで出来た箱を渡されました。
その箱の中には、1匹のトンボの死骸が入っていました。
家に帰って父に見せると、
以前私のことでH先生に呼び出されたときの話を父がしてくれました。
先生は、私がトンボを渡した後
どうしてもそれが捨てられなかったようです。
トンボが死んでしまっても捨てられず、
職員室に持って帰って
私が卒業するとき渡そうと考えたらしいのです。
「H先生、お前が心開いてくれたって喜んでたぞ」
私はそこで初めて涙を流しました。
私の退屈な3年間に意味があったことをそこで初めてしりました。
箱には、メモがついていました
【これは、1年生の奉仕活動のとき君が僕にくれたトンボです。
心を開いてくれて
ありがとう。】
先生、これじゃ今度は私がトンボ捨てられなくなっちゃったよ