名前:ぴこ 投稿日:2015-11-09
僕は土木作業員。
仕事終わり間近の夕方、雨がポツポツと落ちてきて親方が「もう辞めるぞー!片付けせぇい!」大声で怒鳴るように指示を出してた。
親方も俺も雨降り仕事が大っ嫌い。
皆が一斉に片付けをして、今日の業務が終了した。
「お疲れ様でしたぁ!」
と声をかけて車に乗り込み帰路についた。
すると雨が段々と酷くなってきて、渋滞になってるんだと・・・
その時は俺は思ってたんだが、実際は違ったんだ。
だんだん 渋滞が解消されて行くにつれて、一台のスーパーカブ(原付バイク)が倒れてるのを見かけた。
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事故があったから渋滞になってたんだなぁと思っていたら、
それも違ったんだ。
雨の降り始めからなのか、路面が滑りやすくなってたのか、レインコートを着ているおばあちゃんがスーパーカブに挟まれ横たわってる状態を目にした。
倒れているおばあちゃんを横に無理に追い越して行く車、
追い越しを待つ車と渋滞が起こるのも無理がない。
俺が車を左に寄せて助けに行こうとしたら、
1人の少年が400ccのバイクでノーヘルの如何にもヤンキーだろ!って子が道のど真ん中に止めておばあちゃんのスーパーカブを起こしておばあちゃんを助けていた。
少年が道のど真ん中にバイクを止めてるもんだから両車線通行止め状態で、止められてる車の人達はイライラしててもしょうがないと思ってたんだ。
だけど少年の行動と言葉にハッと我に返ったんだ。
車のクラクションが鳴り止まない窓を開けて、ある男性が「通れないだろー!」と怒鳴りあげた。
少年が言った一言に心打たれた、、、
「何も思わんのか?おばあちゃんが倒れて起き上がれないのを見て助けてあげよう!とか雨に濡れるのが そんなに嫌なのか?急いでいたら困ってる人が居ても素通りするのか?」
男性は無言のまま窓を閉めて無理矢理車を進めた。
俺はおばあちゃんと少年の所に行くとおばあちゃんは
「雨にも濡らせてしまって 手間かけさせて 本当にごめんよぉ、、、」
と…
少年は
「おばあちゃん こんな世の中にして ごめん!」
ただその一言を言って少年はバイクにまたがり去っていった。
おばあちゃんが助けられるまでに何人もの大人がその現場を見かけて素通りしていった事、悲しいなって思う。
少年の言葉を素直に聞き入れる事も出来ない大人、
すみませんと一言も言えない大人。
少年の
「こんな世の中にしてごめん!」
この一言が胸をズキンっと痛めつけられた事。
こんな現代になってしまった事が悲しい。
少年の行動が当たり前で、見かけや身なりで人を判断出来ない世の中だと同時に思ったよ。