名前:反抗期の娘 投稿日:2024-02-16
高校3年の5月、母が入院した
癌だった
わたしが子供のときから何度も繰り返していた癌の再々再発くらい
入院したときにはすでに余命4ヶ月
私はそれをきいたとき何となく、夏くらいにはいなくなってしまう気がした
入院先が高校から近かったこともあり、学校帰りに2日と空けずお見舞いにいっていた
私は物心ついた頃から反抗期といっては過言でないほど、手のかかる娘だったと思う
学校に呼び出されるとかではないけど、ほんとに、親に甘ったれてたくそがきだった
中学に入ったくらいから会話もあまりなくなって、母も夜働いていたから家でも朝少し顔を見るくらいだった
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それでもお見舞いに行っていたのは、なにかやっぱり感じるものがあったからなんだと思う
母が入院して2ヶ月がたったくらいのとき、
相変わらず反抗期だったわたしは病院にいっても何を話すわけでもなく、ただ病室のははのとなりに座ってスマホをいじっていた
「何か飲む?お母さん、なにか甘いものでも買ってこようか。」
「いい、いらない…そろそろ帰るね」
「下まで送るわ」
「…エレベーターまででいいよ」
エレベーターを待ってる間に窓から見えた夕日の鮮やかすぎるくらいオレンジ色は、病院という場所で見るとなんだかすごく切なくなったことを覚えている
「せっかく来てくれてるのに、楽しいことなにもなくてごめんね」
「病院なんだからたのしいことしにきてるんじゃないからいいの。」
また明日来るね
といってエレベーターに乗り、外まで下りて上を見上げると母がまだ手を振って見送っていた
バスに乗って、わたしが見えなくなるまでそこにいた
それが母と話した最後の会話だった
なんであのときあんなに素っ気ない返事しかしなかったんだろう
なんでもっと、ちゃんとたくさん話さなかったんだろう
ごめんね。ありがとう。あなたがいなくて寂しいです