名前:ごま 投稿日:2014-01-21
高2のときの話をさせて下さい。
医師であった父は下咽頭癌だった。
数年前から首のリンパのあたりが腫れていて、検査では異常なかったのに。
まさかの末期癌と宣告されたみたい。
その時私は学校にいた。
母からの連絡で急いで帰った。
帰ったら居間に父がいて、テレビを見ていた。
背中がなんとも寂しくて…
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兄弟が全員帰ってきたとき、家族で話し合いをした。でも父は終始「ごめんね」しか言わなかった。
その翌日、癌で気管が押し潰されるのを避けるために緊急手術が行われた。
父から声が奪われた。
当時、末期の下咽頭癌の生存率はなんと0%。
世界でも生存した例がないとの事。
もう長くはないと分かっていた。
父は毎日辛い抗がん剤治療、放射線治療をこなしてた。治るつもりで…
治療の効果はあまりみられず、抗がん剤の副作用で身体がボロボロになっていく一方だった。
体重も40キロ代に。
それでも前向きに治療を受けていた。
そして入院から3ヶ月後。
運よく、父自身も医師で母は看護師なので自宅療養ができるようになった。(訪問医も雇いながら)
当時、1年付き合ってる彼氏がいた。
母には紹介したが、父にはまだ…
昔元彼と付き合ってるときに大反対したからなかなか紹介できずにいた。
でも紹介せずにはいられないって思って、病室で2人きりのときに言ったんだ。
「あんな、えっと、お父さんに紹介したい人がいるねん…けど…」
すると「もうちょっと元気になったらね」と言われてちょっと気まずくなってしまった。
数日後、家にたまたま来た彼が母によばれたんだ。
「Jくん(彼)、おいで」と。
そこは父が療養してる和室だった。
彼はえ?え?いいんですか?っと戸惑ってたんだけど、それ以上に私が戸惑っていた。
ついて行くと、父がニコニコしながらベッドに座っていた。
彼に向かって”はじめまして”と握手しながら口パクでいったんだ。
そして最後に”頑張ってね”と彼にいって和室を後にした。
後から聞いた話なんだけど、父は彼に”Y(私)をよろしくお願いします”と言ったそう。
それを聞いてワンワン泣いたっけ。
彼氏つれてくるの反対してた父からこんな言葉貰えるなんて思わなかったからね。
そしてその1ヶ月後、父は天国へ逝ってしまった。
亡くなる前日あんなに元気だったのになぁ。
お通夜に私の彼氏が線香を立てにきた。
父の顔を見るなり泣くの堪えてずっとずーっと手をあわせていた。
その姿を見て泣かずにはいられなかった。
母も目に涙を浮かべながら「あいにきてくれてありがとう」って言った。
彼氏を見送る途中、公園に寄ったんだ。
その時彼に「お父さんの分も幸せになろうな」と言われてずっと胸の中で泣いてた。
父の為にもちゃんと生きていくと約束した。
彼は2年経った今も、
家に来ては父がすきだったASAHIのビールとカシューナッツを持ってきて供えてくれている。