名前:和菓子 投稿日:2017-11-05
1:和菓子φ ★ :2008/04/21(月) 20:29:16 ID:???
長野冬季五輪を記念し20日、長野市内で行われた第10回長野マラソンに、同市の会社員、林衛さんは特別な思いで参加した。
6年前、4歳だった長男の大幹君を病気で亡くした。
「今日は大幹の10歳のお祝い」。
林さんは、10周年の節目の大会を、父子「二人」で走り抜こうと心に決めて臨んだ。
スタート地点の長野運動公園。
午前8時半すぎ、合図が鳴ると、林さんは短パンのポケットの上に右手を当て、
「一緒にゴールまで行こうね」と、心の中で話し掛けた。
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ポケットには、大幹君の枕元に置いていた病気平癒のお守りを入れていた。
大幹君は1998年6月、体重1490グラムの未熟児で生まれた。
林さんは対面前、医師に異常を告げられ、妻の博子さんにはすぐに言えなかった。
生まれつき心臓に穴が開き、頭の骨が固まって脳が大きくなれない病気かもしれない-と後に知った。
1年間、新生児集中治療室に入り、5回も手術を受けた。
1歳の誕生日に一般病棟に移ったが、10分に一度は肺のたんを吸引しなければならなかった。
夫妻と林さんの父母の4人が交代で付き添った。林さんは、仕事が終わると病院に向かい、休日も趣味のトライアスロンを封印して看病した。
大幹君は4歳を1カ月後に控えた2002年5月に退院。林さんは、できる限り市内の城山動物園などに連れ出した。
しゃべることも歩くこともできなかったが「にっこりしてキョロキョロしたり、舌なめずりしたり。喜んでいるのが顔で分かった」。
その3カ月後、大幹君は風邪をひいて入院。
1週間ほどたった8月13日。ベッドを囲む4人が差し出した腕の中で亡くなった。
鼻やのどに管を通したままの小さな体で4年間病気と闘い続けた大幹君を「苦しみと穏やかに向き合った仏様」と、林さんは言う。
知り合いに誘われて昨年初めて出場した長野マラソン。
10周年の今大会は、生きていれば10歳になる大幹君と一緒に走ろうと思った。
この日。林さんは35キロ付近で股関節に痛みが走った。
目標の4時間が切れなくなると思い、「大幹、助けてくれ」と、またポケットに手を当てた。
40キロ付近で復活し、3時間54分で完走した。
両手を上げてゴールした林さんは「大幹は強い男だから、負けないように走った。一緒に走れて、喜んでくれているだろうと思う」とすがすがしい笑顔を見せ、
大幹君に「ありがとう」と念じた。