名前:ワシャゴ 投稿日:2017-02-02
あなたが小学五年生の時かね。
あなたの担任の女の先生から電話があった時、かあちゃんびっくりしたよ。
「あなたのお宅はどういう躾をされてるんですか!」って。
あなたは給食の粕汁が食べられなくて、六時間目が終わっても教科書も出さないで、ずっと下を向いて泣いてたんだってね。
先生から「粕汁をたべられるよう、お願いいたしますよ!」って。
かあちゃん、その日の夜の買い物すんでたけどあわてて粕汁の材料買いに行ったさ。
あなたは、その日コッペパンに粕汁つめて帰って来てたわねw
かあちゃんなんか笑ってしまったよ。
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パンは持ち帰っていいからかな?
あなたが頭を振り絞ってそうしたのかね。
粕汁ごと持ち帰ってきたよね。
先生も呆れてたみたいよ。
仕方ないから帰るのを許可したみたいね。
その日の夜、かあちゃんも先生みたいに鬼に見えたのかな?あなたには。
夕食は粕汁。
あなたが絶望的な顔をしてたのに、かあちゃん「食べなさい!」って。
涙を沢山ためて、じっと下を向いたまんま、一さじ口にいれてはえづいてたあなた。
結局とうちゃんが助け船だしたわね。
かあちゃんにとうちゃんが
「もう許してやれ。人間どうしても食べられないもの一つくらいあるよ」
かあちゃんは、あなたに優しくできなかった。
というか、かあちゃんの体裁ばかり考えてたのかな。
あなたを甘やかしている馬鹿親と言われるのが、恥ずかしくて悔しくてね。
小学五年生の間、後で何回か粕汁出たときは、さすがに担任も粕汁をあなたが他の友達に食べてもらったのを黙認してたそうじゃない。
クラスの誰かが自分の親にあなたの話をしたみたいで、校長にその親がやりすぎじゃないの?と電話してくれたみたいで。
小学六年になって担任が代わって、夏くらいにあなたが鬼のように恐れていた五年生の担任から電話がまたきたわね。
遊びにおいでって。
私はあのときの給食の事でその教師がお詫びのつもりで、誘ってくれたのかなとよろこんだわ。
あなたもだったよね。
何人かの五年生の時の同級生とともに、その教師の家に遊びに行った笑顔のあなた。
おかあさん、知らなかったよ。
あなたが奈落の底に落とされてたなんて。
その教師が昼に出したおかずは粕汁と、出前のお寿司。
あなたのそのときの絶望的な顔って、どんなだったんだろ。
まわりの同級生にまだ、粕汁食べれないのかよ!っていじめられたんだね。
青白い顔で帰ってきたあなたは、目に涙をいっぱいためて。
おながもすいてたはずなのに、トイレでゲーゲーはいてたよね。
一生懸命粕汁を、食べたのかな。
ただパニックを起こして、朝に食べたものを吐いたのかな。
かあちゃんもさすがに教師に電話したよ。
うちの子に何をしたんですか!って。
その教師が悪びれもせず、あれから甘ったれのまんまか、見たかったと言ったよね。
かあちゃんくやしかった。
あれから、何十年経っただろうね。
あなたは粕汁どころか、
白酒、粕漬けの魚、下手をしたら日本酒の匂いをかくだけで吐くようになってしまって、今も治らない。
かあちゃんが体を壊して、マスクをして「かあちゃん粕汁好きだもんな」と携帯でレシピ見ながら、冬には粕汁を出してくれるよね。
優しいよあなたは。
脂汗かきながら、鼻呼吸を避けて、悪戦苦闘しながら
粕汁を作っているところを見たら、悪いけど笑ってしまうよ。
「あったまるから、食べて」
そういうと、二階に逃げていくあなたw
かあちゃんも悪かったよ。
なんで粕汁ごときであなたにムキになる必要があったんだろ。
あの教師に、なんでもっとおこれなかったんだろ。
優しいあなたを、
なんでもう少しだけ
優しくかばえなかったんだろって。。。