名前:ぶり 投稿日:2016-06-20
俺が中学生の時の話。
とにかく運動部の奴がもてた。
中でも成績が優秀な奴が集まっていたのが、バスケ部だった。
気が弱くて肥満体の俺は、クラス替え当日から二人のバスケ部員の同級生に目をつけられてしまった。
学級委員のIはとにかく品行方正厳格を、絵にかいたような奴だった。
俺が少しでも、トロトロどんくさい行動、なにか些細なミスをしたら、ビシッと雷を落としてきた。
まじ背筋がピンとなるし、まじヘコんだ。
自分のできなさに自己嫌悪に陥る毎日だった。
最悪なのはもう一人のバスケ部員K。
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長身の男前、チャラいがピッタリあてはまる奴だった。
出席番号が隣。
50メートルの記録を計る時に、「こんな豚と一緒に走ると俺までタイム遅くなるわ」と、大声で嫌みを言うような奴だった。
いつも、拳握って耐えてた。
KよりIが怖かったからだ。
殴りかかって、怪我でもさせたら、バスケ部繋がりで何を言われるかと思うと、ビビってしまってた。
あるとき、
まだ携帯電話もない時代、俺はあるアイドルの写真を、週刊誌などでひたすら集めて、友人に自慢じゃないけど見せて楽しんでいた。
クラスのいけてる女子から声をかけられた。
普通話す階級の子じゃない。
俺は最下層のいけてない男子だからw
「アイドルの写真少しくれない?」
笑顔の可愛い彼女見たら、下心とかじゃなく、話せた喜びから、感謝じゃないけど、アイドルの切り抜きをあるだけ譲った。
彼女が立ち去ったあと、Iがやってきた。
やばっ、また雷を落とされる?みたいな。
「馬鹿だなお前は。あの女Kの彼女だぞ。利用されたんだよ、お前は。」
つまり、Kもそのアイドルのファンだったわけで。
情けなくて泣きそうになった。
不思議だったのは、Iの口調が優しかったんだよね。
だからか、思ったよりは立ち直りが早かった。
しばらくして、校内相撲大会団体戦をすることになった。
学校行事、クラス対抗戦だ。
Kがまた嫌みを言ってきた。
「豚、お前のためにある大会じゃねーか、出ろよ」
アイドル切り抜きの件もあり、さすがにブチキレた。
やってやろうじゃんみたいな感じ。
その瞬間Iがいきなり、意外な言葉を発した。
「賞状欲しいしな、強い奴選ぶのあたりまえだろよ」
デブだが、力もあり、相撲もそこそこ強かった俺は団体戦の大将に推薦された。
Iは副将、背が高いしなによりガタイがいい。
不思議なのは俺より強いのに、なんでIじゃなく俺が大将なん?て感じだった。
Kもガタイがいいから、選ばれた。
上半身裸+ジャージにまわしが嫌だと、ぶうたれていたが、Iの「出ろよ」の一言で、相撲大会に出場へ。
で、
試合当日。
Kが小芝居をしながら「腹壊したから出れない」仮病だと丸わかり。
Iが「根性ないやつだな、彼女に出るなとでも言われたのか?」と、クラス全員の前でKを罵倒したI。
真っ赤な顔になり、教室から逃げ出すように出ていったK。
団体戦は残念ながら、8クラス中4位だった。
3位まで賞状をもらえたのに。
3位決定戦で、大将の俺が負けたせいだった。
前の試合で巨体相手にぶん投げられ、足首を捻挫してた俺。
3位決定戦の相手は柔道部の巨漢だった。
腫れ上がった足首なんて気にせず、むかっていった。
土俵俵まで追い詰めたんだが、柔道技で見事にぶん投げられ、逆転負け。
試合が終わりうなだれるみんな。
俺も責任を感じて半泣きだった。
でも、誰も俺を責めにこなかった。
次の日、
足をひきずりながら教室に入ると、Kがいた。
「おい豚、悲劇のヒーロー気取りか」
冷ややかな笑い。
負けた負い目から、俺は耐えるしかないなと、諦めていた。
次の瞬間だった「下痢ピーは治ったんか?K」Iだった。
「お前に、こいつ責める資格あんのか?」
Kがビビっているのが、手に取るようにわかった。