名前:かずき 投稿日:2014-12-11
昨年の今頃の話です
俺が新入社員のころに担当していた取引先の自動車整備会社の会長が亡くなったと聞いて
お通夜には行けなかったんやけど告別式に行って来ました
場所は品川区の大井町駅近くのセレモニーホール
たくさんの献花が
このひとの人柄を表していました
会長といってもおばぁちゃんで
ご主人と死別後
二人のお子さんを育てながら、一人で残された会社を守ってきた「肝っ玉かぁちゃん」
SPONSORED LINK
自分の会社にいた整備士が独立するときは開業を助けてやり、商売敵になったのに
その後も、いろいろ相談に乗ってあげたり
困ってると助けてやったり
だからこの地域の自動車整備工場の社長のほとんどが
このひとを「かあさん」て呼んでました
「今度、こちらを担当させていただくことになった〇〇です。新人で未熟ですが宜しくお願いいたします」
初めて、この「かあさん」に挨拶に行ったときでした
「ああ保険屋さん忙しいかい」
「はいあっいいえ大丈夫です」
「会社は儲かってるかい」
「はいいやええと…」
「…………」
見るからに恐そうな女社長に緊張して、しどろもどろだった俺に「かあさん」はにっこり笑って
「いいかい〇〇さん
そういうときは『お陰様で忙しくさせてもらってます』とか『お陰様で儲かってます』って言うんだよ」
「はい」
「これから人生いろんな事あるけど
良い事は全て『お陰様』なんだよ」
「はい…」
「かあさん」には2年間の担当期間中、本当にお世話になりました
仕事でこの会社を訪れるたびに
「○○さんは一人もんだから野菜なんか食べてないんでしょ
煮物あるから持ってき」
「ああ〇〇さんスイカあるから食べてき」
すごいひとなのに
大学出たばかりの若造だった俺を「○○君」ではなく、いつも「○○さん」と呼んでくれました
セレモニーホールのなかは都会では珍しく大勢のひとがいて、祭壇には花に囲まれた「かあさん」の遺影がありました
俺の焼香の順番がきて遺影を見上げると
「○○さん立派になったねえ」
「かあさん」がそう言ってくれた気がしました
焼香をして
目を閉じて
手を合わせ
再び遺影を見上げました
お陰様です。ありがとうございました