名前:koshian 投稿日:2017-07-01
俺の父は会社でいじめられていた。
最初は奢り高ぶる上司だった父がいじめられる発端になったのは部下から社長への被害届が届いたからだった。
社長へも時には反対する父に対して社内での批判は大きくなっていったんだ。
いつしか父は家庭に身を置くようになっていった。
それまではクセの強かった女遊びも酔って帰ってきて母に怒鳴りつける怖い父も全部居なくなっていた。
その頃家族で旅行に行ったんだ。
コテージで泊まった中々楽しい旅行だった。
夜になって運転で疲れた父は先に寝てたんだけど、
母と弟と3人でその日のことを話していると突然寝ている父が「うわぁ!」と叫び声をあげたんだ。
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まだ幼かった僕と弟は怖くなって母に泣きついて
母は、「大丈夫だよ」と俺たちを落ち着かせてくれたんだ。
で、その後確認したんだけど父はやっぱり寝てたんだ。
ある日俺が学校から帰ると会社へ行ったはずの父が家に帰ってきてたんだ。昼の2時過ぎだった。
なにやら母と話し込んでいたので少し耳を傾けると「....鬱になる手前だって...」と聞こえた。
幼いながらに鬱はわかる俺は愕然として、でも聞かなかったことにしようと笑顔を振りまいたのを覚えてる。
あの旅行の叫び声について調べたのがその時から2年後になる。
それまでずっと夜中に父の部屋から叫び声も聞こえるわ、日に日に衰弱していく父を見ていられなくなってってたんだ。
それでも毎日頑張って会社へ行き、どこへも寄らずにまっすぐ帰ってきてすぐに眠る父が心配で俺は(夜中 叫ぶ 病気)って調べたら、それはやっぱりストレスからくるものらしかった。
そんな中、父は「こんな奴らに負けるか」いや「今負けたらダメだ自分に勝つ」っていう感じで毎日頑張ってた。
あれから4年が経つ。
つい最近になってマシになってきたのか昔とは違って俺たち兄弟との会話も増え、母との喧嘩も少なくなった。
ずっと会社も通い続けている。
そんな中次は弟が反抗期に入ったことで少し俺にとってストレスになることがあったんだ。
風呂に中々入らず、普段の生活がまともではない弟と一緒の部屋に住む俺はいよいよ嫌気がさして父に弟の説教を頼んだんだ。
父は中々いうことを聞かない反抗期真っ只中の弟に最初は「ちゃんとしろ、風呂くらい入れ、勉強ができても普段がなにもできてなきゃ本末転倒だ」と口で言っていたが弟がそれでおとなしく引き下がるはずもなく、猛反発。
すると父は弟を殴り出した。
母はそれを見て「この子は生活はこんなだし反抗もするけどその分普段から(俺)の何倍も努力してるのよ!殴ったりしないで、私はいつも見てる!」と必死に怒って父を止めようとしたが俺は「自業自得だろ、こっちの気にもなってみろ」と、相手にはしなかった。
しばらくして父はため息をついた。
勉強しながら隣の部屋で殴られている弟を耳で聞いていた俺は「お、止まった」と思っていたら父がこう言った。
「どれだけ勉強ができて、どれだけ賢くても、それをダメな方に使うやつがお前みたいなやつなんだ!普段の生活がその人間の心の軸になるんだ!俺はずっと前、そんな性格のせいでいじめられた、もうありとあらゆることをされたよ。3ヶ月かけた企画書を燃やされたり、会社の中であらぬ噂を立てられたこともあった。だけどな、お前らが大事だったから...お前らが、大事だったから負けられなかったんだよ...どうしても。...だからな、お前にはそうなって欲しくないんだ。俺みたいな人間にはなって欲しくないんだ。家族に愛されて、家族を守れて、みんなから期待されて、そういう人間になって欲しいんだよ!」って。
もう俺涙止まんなくてなにを考えたらいいのかも分からずに気がついたらノートビッショビショでさ。
弟も泣いててお母さんも顔手で覆っててすごかった。
俺はさ、昔と違って勉強もしなくなったし賢くたってない。けど俺は弟と反対で普段から生活もちゃんとできてて周りの大人からは「(俺)くんは本当にいい子」って言われてたんだって。
でもさ、この一件で思ったんだ。
どれだけいい子でもどれだけ生活がちゃんとしててもするべきことがちゃんと全部できてなきゃ社会で落ちていくって。
あの時の弟がそのまま社会に出てきても俺はなにもできないって。
だから俺は父のようにはならなくても父を超えられる人間に絶対なりたいって決めたんだよ。
だから今母と弟を見返そうと本気で勉強してる。
ありがとう父さん。