名前:みー 投稿日:2013-08-27
……夏は、私の誕生日の季節でした。
私の家は父親が居なく、母が一人で、私と妹を育てています。
…まぁそれだけに、養育費などのお金は足りず、母は夜遅くまで仕事をしています。
でも、誕生日だけはちゃんと仕事を休んで遊園地に連れて行ってくれたりしました。
私の誕生日もまた、遊園地に行きました。
たっぷりと遊び終わった後、向かいのおもちゃ屋さんで誕生日プレゼントを買うのが毎年の事でした。
私は、本当は欲しいものがあったのですが、家庭も忙しく、仕事を頑張ってこなしている母にそう値段が高いものはねだれないので、500円くらいの安いおもちゃを選びました。
でも、誕生日でもない妹は「これ欲しい~」とねだり、1000円の人形と800円のぬいぐるみを買ってもらいました。
「ずるいなぁ」とも思いましたが、父親似の妹は母から好かれ、少なくとも私よりは可愛がられてるので「しょうがないか…」と自分の中で抑えました。
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翌日は、祖母の家に行きました。
祖母が「誕生日プレゼント見せにおいで」と家に招いてくれていたので、私は張り切って用意をしていました。
すると、同じく用意をしていた妹が、買ってもらっていた人形とぬいぐるみをカバンに詰めていました。
そこでようやく、「ずるい、私の誕生日なのに、なんで妹が…」と思い、
「ねぇ、そんなに持ってかないでよ、ずるいでしょ?私の誕生日なのに、」
と言い、むりやりカバンから出そうとしました。妹は泣き、母に言いつけました。
……すると、母は
「じゃあ、あんたのプレゼントを置いていけばいいでしょ?」
と言った。
おかしいじゃん、私の誕生日なのに、
とは言えませんでした。
すごく悔しくて、「なんで」と何度も思って、
……でも、最後は泣きながら「持って行きたかったな…」と、我慢して家に置いていきました。
祖母の家に着き、赤飯を炊いていてくれた祖母が、
「誕生日プレゼント見してみ?」
と聞いた。妹はすかさず、
「これ!可愛い~っしょ!」
と見せびらかします。
それを見て、なんだか虚しい気持ちになりました。
「あれ?みーちゃんのは?」
聞かれたか…と戸惑いながらも出来る限りの明るい笑顔で、
「うーん…忘れちゃったんだよね!」
と告げました。
…あぁ、辛いなぁ
と思った。
なんでだろうか。
自分で言った言葉に凹んだ事なんて無かった
「誕生日なのに、残念だねぇ…」
「…うん…」
それからは、空返事しか出来なくて。
激しい虚無感に囚われたまま、家に帰った。
自分の机に置いてあるおもちゃを見て、泣いて。
その時からかもしれない。
「誕生日は苦手だなぁ……」
が口癖になってしまったのは。
結局誰にも頼れなかった。
この気持ちは、誰にも話していない。
きっと知っているのは、
あの時、仏壇の写真に写っていた
おじいちゃんだけだと思う。