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じいちゃんのバイク

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名前:Bali 投稿日:2016-05-10

私はバイクに乗っている。よく見かけるし特に珍しいという訳でもない。しかし私には特別なバイクなんだ。私にとっても、私のじいちゃんにとっても。

私のじいちゃんは何かとモノづくりが好きな男だった。いわゆる職人気質な頑固者だった。始めは自転車屋、バイク屋、そして最後には自動車屋と車系は一通り網羅していた。
私には父親がいたが、私が小さい頃とんでもない額の借金を私の家族に背負わせいなくなった。
私は父親が嫌いだった。毎日のような母親との喧嘩、夜遊び。私の「父親」というイメージは幼少期から最悪だった。その父親に対する考え方は父親代わりをしてくれたじいちゃんにも変わらずだった。
離婚してじいちゃんの家に引っ越したそんなある日、じいちゃんは私に1台のバイクを見せてきた。真っ赤なバイクだった。
「後ろ、乗ってみるか?」
と満面の笑みを浮かべるじいちゃんに俺は
「絶対に乗らない」
そう言って友達と遊びに出かけた。

しつこい位毎日のように乗ってみるか、と尋ねて来るじいちゃんに何回かは乗ったが、正直うんざりだった。私は「父親」というものが嫌いだったからだ。

我が家は必死だった。決して裕福な家庭でもなく兄弟も多い。父親の作った借金を返すために母はもちろんじいちゃんも休みなく毎日働いていた。

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そんな大変な毎日にも関わらずじいちゃんは毎日真っ赤バイクの整備や点検をしていた。
(バイクなんかいじってる場合じゃないのに...)

そして長男である私も時が経ち社会人になった。

借金を返す親の姿を見て育った私はできる限り早く借金を返せるよう協力していた。残りの兄弟達が社会人になれるようできる限り仕送りや費用を負担していた。車はあれば便利だがとてもじゃないけど維持出来ない。私が選んだ手段はバイクだった。

久しぶりに実家に帰った時じいちゃんは驚いていた。あれだけ嫌っていた私がバイクに乗っていたからだ。
「なんだ、お前もう後ろ乗る必要無くなっちまったのか、でかくなったもんだ」
そう言ったじいちゃんはちょっと寂しげだった。

そんなじいちゃんの表情を見て言った。
「2台ならツーリング行けるだろ」

反対するばあちゃんと母を何とか説得して2人でツーリングに出かけた。

じいちゃんも若くないので遠出は出来ない。地元近くの海や山、小さい頃遊んでいた公園や学校を回った。
場所に着くたびにじいちゃんは私の小さい頃の思い出を語る。社会人になってようやくじいちゃんと分かり合えた気がした。それからはバイクの整備や点検の仕方、社会人として必要なこと、色々なことを教わった。
そして別れ際じいちゃんはこういった。

「このバイクな、お前と同い年なんだよ」


次にじいちゃんと会った時に私はバイクに乗っていなかった。最後の兄弟が社会人になる際必要な費用、そして最後の借金の返済額を捻出するために売却したからだ。

じいちゃんはそんな私を見て笑ってこう言った。

「やるじゃねぇか、よく頑張ったな」


数日後、じいちゃんは亡くなった。


葬儀も終わり、ばあちゃんと母に呼び出された。
そして言われた。

「このバイクはあんたが乗りなさい、じいちゃんそう言ってるから」

遺書には私への感謝の言葉と謝罪の言葉で溢れていた。そしてバイクを私に譲ることも。読み終わるとばあちゃんと母が私に告げた。

「そのバイク、あんたが生まれた年にじいちゃんが誰にも言わず買ってきたんだよ。私と結婚してからバイクは乗らない、って言ってたのに...俺の初孫が生まれるんだ、後ろに乗せて色々な所に連れて行ってやるんだって」

私はその何故かピカピカなバイクを受け取り、バイク屋に点検をお願いしに行った。一応動いていたとはいえ25年落ちな上にじいちゃんもしばらく乗らなくなっていたからだ。
すると整備士の人が言った。

「すごいなぁ、初期型でこんなに状態がいいのは初めて見ましたよ!大事に乗られてるんですね!」

私は涙が止まらなかった。


じいちゃんはバイクが好きだった。だから自分で勉強して自転車屋からバイク屋になったこと。
バイクブームが過ぎて借金も返すことになり仕方なく自動車屋になったこと、どんなに苦しくてもこれは私のようなものだから絶対に手放さないといってきかなかったこと。自分が乗れなくなってからも毎日のようにメンテナンスしたり磨いていたことをばあちゃんから聞いていたからだ。

私が求めていた理想の父親は、こんなにもすぐ側にいた。

私を色々な所に連れて行ってくれる予定だったバイクは今も元気で私と共に同じ人生の時間を進んでいる。じいちゃんと一緒に過ごした25年も一緒に。

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