名前:みぃkun 投稿日:2011-03-05
昔、ある国に演技の上手い道化師がいました。
その道化師が演技を始めると、どんな仏頂面の人も笑顔になりました。
道化師の演技を一目見ようと近隣諸国からも来る程でした。
ある日、国王が近隣諸国の来賓へのレセプションの為に、その道化師と小屋の仲間を呼びました。
レセプションの当日、道化師の息子は大病を患い寝込んでいました。
年をとってから出来た子供で夫婦はとても可愛いがっていました。
『今日のレセプション、断ろうか?』
と道化師の夫婦が話していると息子がベッドの中から『パパの道化師、大好きだよ、だって皆がパパを見て笑顔になるんだもん、僕は大丈夫だから皆を笑顔にしてきて!』
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道化師は後ろ髪を引かれる思いでレセプション会場へ向かいました。仲間が口々に言います。
『こんな日位、休めば良いものを、そんなに名声が大事なのか!』
道化師は演技を始め、観客をわかせました。
使いの者が道化師に耳打ちします。
『息子さんが先程息を引き取りました、帰ってあげて下さい。』
しかし道化師は演技を辞めません、観客をわかせ続けます。
『子供より名声を取りやがった!』
小屋の仲間は言います。
道化師は演技を続け観客をわかせ続けました。
客席がざわつき始めました。
『道化師が泣いてる…』
『皆を笑顔にしてきて!』
道化師は息子との最後の約束を果たす為にステージに立ち演技を続けていたのですが観客の子供と息子がダブり泣いてしまいました。
顔は笑っているのですが涙がとまりません。
を恥じて二度とステージに立ちませんでした。
その後、その道化師を讃えメイクに一筋の涙を書く様になりました。
道化師の笑顔の下には深い悲しみが隠れています。